奈良県天理市で自然素材と快適な暮らしを提案する㈱夢工房スタッフです。
木材の持つ機能や効果は数字ではなかなか表現しにくいですよね。
・美しい木目
・あたたかみのある感触
・高い吸湿性
表現力では伝えきれないこともありますよね。
そんな言葉にしにくい木の魅力や効果について
埼玉大学が全国の学校を調べることで木の効果を測ろうという試みがありました。
「学校校舎における木材利用の現状」 埼玉大学 長南あずさ他2名
https://core.ac.uk/download/pdf/199684438.pdf
平成22年「公共建築物における木材の利用の促進に関する法律」が成立し、国や自治体等を建築する建物に内装等に積極的に木材や木質系部材を活用されてきました。
小学校や中学校も例にも漏れずに木質化が進められてきました。
実際に学校の木質化が教育現場にどんな影響がでているか?と言うのがこの調査の意図のようです。
木質率で学校を4分類
全国7地域の小中学校71校(小学校48校、中学校23校)、教員・児童生徒・教育委員会の施設担当者を対象として調査
10か所の面にて
「普通教室およびこれに隣接する廊下の総面積に対する木材を使用した面積比」を木質率と指標にしています。
なお、机や椅子等の什器は計算に含めないこととした。
①高木質率群 (木質率55%以上)
②木質率35%~54%
③木質率25%~34%
④木質率25%未満
各学校を木質率で4分類して、
利用者の意見や雰囲気や居住感に対する主観的評価をまとめていっています。
最適な木質率は?
「学校校舎における木材利用の現状」内では、主観的な意見を含めたもので順位を出すものではないので、最適な木質率は示されていない。
しかし、一定の調査結果は示されています。
学校では、
②木質率35%~54%
がもっとも適している
①高木質率群 (木質率55%以上)
学校に対して愛着が高く、あたたかみや豊かさを感じている。
窓や黒板以外の部分がほとんど木材であるために、日中でもやや暗さを感じる。重々しく印象受けた。模様
②木質率35%~54%
教室・廊下の床、ドア・ロッカーと腰板に木材が使用されている学校。
「こんな学校で学べる(勤務できる)のはとても幸せなこと」「とても明るくて、あたたかみがある」など多くの教員、自動生徒が雰囲気やイメージの良さについて述べていて、教員・児童の評価は高い
キレイに丁寧に維持されていることも特徴的
③木質率25%~34%
教室・廊下の床や木質素材が少し使われている学校
校舎に対して特別な印象が少なくなり、無機質な印象を抱くことも増えていて、
30%を切る学校では比較的新しい学校であっても、やや汚れた印象を受けるなどの意見もでていた。
④木質率25%未満
RC造で教室の床、ロッカー以外は木質材で、廊下の床はビニール系シート、内壁やドアはアルミ製で木材は使用されていない。
調査者からはシミや汚れが目立ち、ビニールシートの劣化は築年数以上に老朽化を感じさせるとの意見が得られた。
子どもたちの行動にも違いがある。
この調査に参加した調査者が共通して認識していたこととして、休み時間における子供の生活行動の違いがあったそうです。
それが子どもたちの休み時間の過ごす場所だそうです。
木質率が高い学校では教室以外の木質化が高い廊下などで思い思いの場所で過ごし、
木質率が低い学校では教室からでずに、椅子に座っている姿が多いそうです。
休み時間も勉強しているのか?
と思いきや、子どもたちの社会的テリトリーの侵害をもたらし、ストレス要因の一つとなっている可能性があるそうです。
違う学校へも転勤もある学校の先生だからこそ、気づけることですよね。
住宅にも木質率は大事そう。
このような調査から
木質率35%~54%が子どもたちには良さそうと言うことが推定されます。
是非、埼玉大学の研究もご覧になってください。
さて、住宅では比較検討することはなかなか難しいため、サンプリングが少ないようです。
ただ、このような調査から子どもたちを育てるのに適した住宅の木質率はどうだろうか。
と考えることは大事なことのような気がします。
どれぐらいの木質率が落ち着けるのか。居心地を良く思えるのか?
一人一人聞き取りや例を見ながらお家を考えていきたいですね。
また家具やインテリアなどで室内の木の比率を上げることもできそうですね。