自然素材を使った健康的で快適な住まいづくりを行う「ココファミーユ|夢工房」のスタッフです。
近年、日本の夏は厳しさを増す一方です。2024年7月30日には兵庫県柏原(かいばら)で41.2℃、さらに8月5日には群馬県伊勢崎で41.8℃が観測され、国内の最高気温が次々と更新される事態となりました。このような記録的な猛暑を受け、「夏に強い家」を真剣に考える必要性が高まっています。
落とし穴?高断熱住宅が夏に暑くなる「オーバーヒート」問題
「高断熱住宅」と聞くと、一年中快適なイメージを持たれるかもしれません。
しかし、冬の寒さ対策に特化した設計では、夏に室温が異常に上昇してしまう「オーバーヒート」という問題が起こり得ます。
これは、一度室内に入った熱が、高い断熱性能ゆえに外部へ逃げにくくなることで発生します。まるで魔法瓶のように熱を溜め込んでしまう状態です。オーバーヒートした家は、不快なだけでなく、熱中症のリスクを高め、過剰な冷房使用による光熱費の増大にも繋がります。
その主な原因は2つあります。
1. 窓からの「日射取得」
冬の暖かさを確保するため、太陽の光を室内に積極的に取り込む設計は、省エネの基本です。
しかし、夏においてはその日差しが強力な熱源となり、高性能な窓ガラスであっても熱の侵入を完全には防げません。室内に入った日射は床や壁に当たり熱に変わり、その熱が高断熱な空間にどんどん蓄積されてしまいます。
2. 照明や家電、人体から出る「内部発熱」
照明器具、テレビ、冷蔵庫といった家電製品、そして私たち自身の体からも熱は発生しています。これらの「内部発熱(ないぶはつねつ)」も、気密性の高い高断熱住宅では熱がこもりやすく、室温を上昇させる一因となります。
【最重要】夏の快適さを実現する3つの必須対策
高断熱住宅の性能を最大限に活かし、夏のオーバーヒートを防ぐためには、「断熱」と「日射対策」を必ずセットで考える必要があります。
1. 徹底した「日射遮蔽(にっしゃしゃへい)」
最も重要な対策は、太陽の熱が室内に入る前に窓の外でカットすることです。
- 軒(のき)や庇(ひさし): 夏の高い日差しを遮り、冬の低い日差しは取り入れる、日本の伝統的な知恵です。
- アウターシェードや外付けブラインド: 窓の外側に設置することで、日射熱を80%以上カットできる非常に効果的な方法です。
カーテンやブラインドを室内側に設置するだけでは、一度ガラスを通過した熱が室内で放出されてしまうため、効果は限定的です。「窓の外側」での対策が鍵となります。
2. 適切な「冷房計画」
家の性能に見合った、必要最小限の能力のエアコンを選ぶことが重要です。高性能な住宅では、小さなエネルギーで家全体を緩やかに冷やすことができます。シーリングファンを併用して空気を循環させると、体感温度が下がり、より少ないエネルギーで快適な室温を保てます。
夏対策の家づくりで本当に大切なこと
これからの家づくりでは、単に設備に頼るのではなく、まず家の骨格となる基本性能を高めることが不可欠です。
「まず断熱(特に熱容量と調湿性)・日射遮蔽・気密で家の基本性能を高め、その上で、高効率な設備(冷暖房など)を最小限の力で動かして快適な環境を維持する」
この「パッシブデザイン」の考え方が、より一層重要になります。
特に、私たち「ココファミーユ|夢工房」がこだわる無垢材や漆喰などの自然素材は、この考え方において大きな役割を果たします。
熱容量: 木材は熱をゆっくりと蓄え、ゆっくりと放出する性質があるため、急激な室温上昇を和らげてくれます。
調湿性: 漆喰の壁は、湿度が高い時には湿気を吸い、乾燥している時には吐き出すことで、夏の蒸し暑さを軽減し、体感温度を快適に保ちます。
猛暑対策は、何か一つの対策で完璧になるものではありません。設計段階からこれらの要素を総合的に検討し、ご自身のライフスタイルに合わせて優先順位を決めることが、夏を涼しく快適に、そして経済的に暮らすための鍵となります。