奈良県天理市で自然素材と快適な暮らしを提案する㈱夢工房スタッフです。先日長崎市内にある旧グラバー邸を行ってきました。
グラバー園内にある建物などの修繕などにも詳しい工務店さんと現地で合流し、当時の技術や工夫やどのあたりが劣化がひどかったのか。など貴重な体験をさせていただきました。
「あそこの仕舞いはどうなっている?」など真剣モードは、観光客さまには申し訳ないほど、異様な光景だったかもしれません。
現存する日本最古の木造洋風建築『グラバー邸』からは家づくりにもたくさんの知恵と考えさせることを勉強させていただきました。
旧グラバー邸とは
江戸時代末期に21歳で来日したグラバーが建てた古き良きが残る南山手の外国人居留地に建つ木造洋風建築。
日本で初めての洋風建築物のため、当時の大工が創意工夫しながらつくっていたことがうかがえたそうです。
洋風と呼ばれる割には多湿な日本でも通用するように『湿気対策』があらゆるところに施されているそうです。
例えば、部屋を囲むようについたベランダの屋根の裏側には格子で屋根内の格子がついていたり、壁に竹を編んだ下地に漆喰塗りにして壁内の湿気を透湿させるなどの『湿気対策』が施されているそうです。
また大量の水蒸気が発生する調理場を別棟に建てていたりと間取りにおいても工夫されていたそうです。
実際この棟の劣化がもっともひどかったそう。
寺社仏閣とは違い、人が暮らすことが前提の建物であること。
当時に大工たちの経験と技術者たちの工夫のぶつかり合いは想像を絶するものだったことでしょう。
だからこそ、
160年(1863年建築)経った今でも観光地として活躍していることを思うと途方もない大仕事をやりきっていますよね。
『住み継ぐ』意識の高さ
1863年に建築され、建築されて初めての大規模修理が100年後1966年~1968年に大規模修理。次の大規模修理が50年後2019年~2021年に保存・耐震工事。
と恐ろしいほどの長寿命な住宅。
その上に新築の際にも、当時の民家の部材を転用して使用しているのだそうです。
当時の建築の『住み継ぐ』意識の高さを感じることができます。
現在の日本の住宅寿命が30年だということを鑑みると先人たちに怒られてしまいそうです。
やっぱり『湿気対策』が大事
旧グラバー邸が教えてくれた話の一つが湿気対策でした。
暮らしの中で発生する湿気は1日22L(4人家族)だそうです。
空気のなかに含まれてしまう水蒸気はどこかに集まったり、温度差があるところにいくと水蒸気は水に変わる。
だから、北側の日の光が当たらないところでは壁内結露などが発生し、劣化しやすくなってしまう。
だから壁内で湿気を貯めこまない。
透湿する住宅が必要になってくるのではないか。
少し専門的な話になって、長くなるのでここでは省略しますが、
湿気を集めない貯めこまない。
特に構造部へ湿気ストレスを与えない。
長寿命な家の基本なのだと旧グラバー邸は身をもって教えてくれたようです。
高度経済成長期のドタバタで大きく変わってしまった家づくり。
部材も職人も当時から大きく様変わりしましたが、改めて住宅が長寿命であることは無条件でいいこと。
安全性も性能も維持できているということですから。
グラバーが日本を離れなかった理由かも
グラバーが江戸時代の21歳で日本に来て、生涯を日本で過ごしたのも旧グラバー邸が居心地よく生活に満たされていたからかもしれませんね。
160年の歴史の中でグラバーが住んでいたのは前半の数十年。
カビや劣化に悩むことすらなかったのでしょう。
湿気対策が不十分な家なら容易に起きてしまうことが起きにくいようにしておくことが住み継ぐ家では重要になってきます。。
弊社の湿気対策については改めてまとめるとして、長崎に行かれた際は、素敵な旧グラバー邸をぜひぜひご覧になってください。
当時の設計士と大工が工夫した場所をぜひ見つけてみてください。
2019年~2021年に行われた旧グラバー邸大規模修繕については公式サイトにまとめられています。
ぜひ、併せてご覧になっていただけたらと思います。